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2017 spring vol.29   26オフィスキャンプ東吉野 代表 坂本大祐と エルインク 阿南セイコの【問4】 このごろ気になること    に関して。【かたりて】さかもと・だいすけ/ 1975 年、大阪府生まれ。商品やプロジェクトなどの企画立案からディレクションまで手がけるデザイナー。2015 年3月にオープンした「OFFICE CAMPHIGASHIYOSHINO」設立に参与し企画からデザイン、運営までを担当。【ききて】あなん・せいこ/ さとびごころ編集委員。オフィスエルインクとして地域に根ざした編集活動を行う。OFFICE CAMP 東吉野この場所を訪ねたことがきっかけになって、幾組ものクリエイターが東吉野村に移住してきた。坂本さんはそのキーパーソンとなって、地域と新参の移住者をつないでいる。また来訪者どうしの横のつながりも生まれている。『和菓子のほん(たくさんのふしぎ傑作集)』中山圭子/文 阿部真由美/絵福音館書店『落ちこぼれ茨木のり子詩集』理論社 春と落ちこぼれ『花と葉で見わける野草』近田文弘/監修 小学館 最近、いろいろうまくいかないことが多いな。焦るな。そんな時に、心のささえになってくれるのが一編の詩。詩人・茨木のり子さんの「落ちこぼれ」はわたしの20代からの心の友。「お・ち・こ・ぼ・れ」の五つの音のひびきを「和菓子の名につけたいようなやさしさ」と表現。「落ちこぼれにこそ魅力も風合いも薫る」んです。だから「結果ではなく」、「華々しい意思であれ」。そうそう。落ちこぼれ、いいじゃん。と、力強く奮い立たせてくれるのでした。 先月、ならまちの和菓子屋「中西与三郎」さんで、人生初の和菓子づくりを体験。さわらびの干菓子と椿のねりきりを作りました。餡を重ねて内側の色をうっすらと出すほのかな風合いは洋菓子にはない感覚。眺めているだけで、気持ちが和みます。『和菓子のほん』は、ひとつひとつのお菓子を丁寧に描いた美しい絵本。和菓子には、このごろ忘れがちな季節のうつりかわりを繊細に感じとらせてくれる力があることに気づきます。 そういえば、落ちこぼれって、どんな色、どんな味、どんな形の和菓子なんだろう? 想像してみると、春を待つつぼみのように胸が高鳴ります。  これは僕が今一人で勝手に構想していることで、具体的な動きがあるわけではないのだけど、「奥大和メディア」というようなものを作ってみたいです。なるべく特定の要因にとらわれないような、自由なスタンスのものがいいですね。OFFICECAMP 東吉野がオープンして、村のクリエイティブビレッジ構想のもと、さまざまなクリエイターたちが移住してきているだけでなく、奈良全体をみても、ライターや編集者といったプロたちが移住してきているんです。そういう人たちの力をあわせて、奥大和のいろんなジャンルの、長くそこに生きてきた人たちのことを綴っていくような、そしてこれからの生きかたの指標となるようなものが発信できたらなあと思うようになりました(編集者より=それって、さとびごころ的な気配がしますので、何か連携できるといいですね)。同じテーマでも語り方の違いで伝わり方も変わってくるので、それだけ多様な伝わり方ができると思うんです。紙媒体になるのか、ウェブなのか、まだこれと言って決まったイメージがあるわけでもないんですが。お金まわりも、まだまだ考え中。あ、もしかしたら、何かひとつ取材したらすぐに小さな読み物にして、手紙のような形で次々と発信する、みたいなことをしても面白いかもしれないなあ。(構成 阿南セイコ)もう1冊。道ばたの小さな花を見つけるのも、春の楽しみ。何げなく通りすぎてしまう草花にも、名前があるんですよね。『花と葉で見わける野草』は、図版がくっきりと見やすく、装丁も美しいポケット図鑑。散策のおともにいかがでしょうか。