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概要

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13  2017 spring vol.29背景にはさまざまな家庭の事情や社会課題がある。本人のせいではない。そこを見据えて自分に何かできることはないかなと思って」 輝きだすお母さんたちの姿に喜び サロンに来るお母さんたちの、子育てやワークライフバランスに関する考え方はそれぞれだ。家庭を大切にする人、社会で専門性を発揮する人、その人それぞれにあった選択をすればいい。だが、中には、持てる力を持て余して悩んでいる人もいる。サロンはそんなお母さんたちの秘められた潜在力にも光をあてる力を持っている。イベントを手伝ってくれる人、常勤のスタッフになった人、別の活動の場所を見つけた人。  「お母さんたちは、ほんの少し後押しすることでキラキラと輝いていく。その姿を見るのが、何よりもたまらないんですよね」 矢田さんの前向きなエネルギーは、サロンと子どもたち、そしてサロンに集まるお母さんたちに、好循環しながら、伝わっていくのだろう。垣根を超え信頼を得て 中にはDV や精神的ストレスなど、よりシビアな環境に置かれた親からの相談を受けることもある。そうした方への支援がなにかできないか。心理士を配置したり、お母さんがひと息つけるよう、一時預かり事業にも取り組むこととなった。  発展を遂げてきたサロンの活動は今や天理市からも信頼を得るようになり、子育て総合イベントの主催を依頼されるようになった。「行政はやっぱり、タテワリ。なかなか横のつながりを持ちにくい。でも、そこもすこしずつ、後押しして」 天理市は今年3月に子育て支援センター「はぐ?る」を開設した。そのオープニングイベントも、サロンドキッズが主催する。「イベントが目的じゃない。イベントを開催するにあたり、地域、行政の子育て支援団体のつながりを持つきっかけづくりをし、また、子育て真っ最中のご家族の方々に、イベントを通して子育て情報を知ってもらいたい。広く知ってもらうことで本当に支援が必要な人の手に届くから」 取材に伺ったこの日には1歳児教室が開催されており、7組の親子が、保育士などによる、絵本、手遊び、工作を楽しんでいた。年齢的な発達と季節に合わせ、よく練られたプログラムは、たしかに、ただのお茶会ではない。ちいさな子どもが、上手にできても、できなくても、みんなで見守る。その場の雰囲気はとても暖かい。 「手があれば、やりたいことはいっぱいある」。矢田さんの視点の先には、誰もが生きていきやすく、自分の資質が認められる社会がある。サロンドキッズの活動は、まだまだ発展途上。この後の活動、楽しみにしてます!(取材・文 嶋田貴子)保育士スタッフによる、『はらぺこあおむし』の読み聞かせ。スタッフのみなさんと参加者のお母さんたち。前列中央が矢田紫真子さん。スタッフおそろいのトレーナーがチャーミングでした。矢田さんは、今年1月発行の天理市広報で、市長との新春対談に登場。親しみやすいチラシと会報誌。作るのが得意なスタッフが底力を発揮。