ブックタイトルsatobi29

ページ
22/28

このページは satobi29 の電子ブックに掲載されている22ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

satobi29

2017 spring vol.29   22ているそうですが、ほとんどは中国産。きれいに発色させるには気候条件が整った場所で、上質な花を摘みとることが必要だそうです。この日の染色にも、どっさりと紅花が使われました。花を育て、そして摘む行程を考えると、めまいがするほどです。ストールは、濃く鮮やかな紅色に染め上げられました。 このイベントの企画運営は月ヶ瀬活性化協議会。地元の方、地域おこし協力隊の若者、全国から集まった参加者、たくさんの人々を巻き込みながら、月ヶ瀬独自の魅力を発信する姿には心が踊るものがあります。帰路、月ヶ瀬温泉を訪れると駐車場は満車。筆者が楽しみにしていた梅のアイスケーキ「月ヶ瀬カッサータ」(一日限定30食)は、あえなく売切れ! 実はこのスイーツも協議会の発案です。やるなあ、協議会。近い日の再訪を心に誓うのでした。(取材・文 嶋田貴子)企画取材 地域のイベント 酸性の烏梅液を使うことにより、鮮やかな赤へと染め上げます。地域の方による数日前からの準備。そして、漬け込むだけでも数時間。息の長い作業です。(撮影=瀬戸山景香さん) 烏梅とは、完熟した梅を燻製にし、からからに乾燥させたもの。紅花の赤い色素を鮮やかにするための発色剤として昔から使われてきたものだそうです。ところが合成染料の発達とともに生産が低迷。現在では、烏梅を生産できるのは国内で中西家ただ一軒になってしまいました。それでも、この烏梅の生産が続いているのは東大寺の伝統行事「お水取り」のおかげ。二月堂の十一面観音に捧げる和紙の椿には、烏梅で発色させた濃い紅色が塗られています。 紅花は、一部を伊賀上野で作っ紅をきらめかせる月ヶ瀬の烏梅   奈良市 月ヶ瀬取材だけのつもりだった筆者も、思わず着ていた白シャツを脱ぎ、ざぶんと染めてみました。参加者がストールを染め終えた後の液で赤い色素が残っていないでがらし液だそうですが、それでもみごとに発色。ちょうど梅の色のような仕上がりに。これも発色剤である烏梅のなせる業でしょうか。ここは月ヶ瀬。3月上旬、梅の花はちょうどつぼみが膨らみはじめたころ。春の陽射しの中、地域内外の人が集い、そこに眠る宝物を掘り起こし、学ぶ「月ヶ瀬でいきる知恵を学ぶツアー」の第4弾「紅花染と烏う ばい梅 」という体験行事が、村内の石打老人憩の家にて開催されました。烏梅紅花染める完成 作業吉岡幸雄さん(左)、中西喜久さん(右) この日のゲストは、日本古来の手法を使った植物染めで有名な吉岡幸雄さんと、地元・月ヶ瀬で烏梅づくりを継承する中西喜久さん。お二人のお話を伺いながら紅花で絹のストールを染めるという、贅沢この上にない企画には、関東や九州からの参加者も!