ブックタイトルsatobi29

ページ
5/28

このページは satobi29 の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

satobi29

05  2017 spring vol.29その結果、経口摂取から胃ろうなどに移行した人の割合は、チームが介入しない場合の約半分にとどまった。 病診連携については、南砺市医師会の中に10年、地域医療連携部会が設置された。医師会、病院、訪問看護ステーション、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所、薬局、歯科医などで構成され、13年度までは隔月、14年度からは毎月会合が開かれている。 こうした場での緊密な協議が、いくつかの効果的な連携の仕組みを生み出している。1つは地域別開業医のグループ化で、グループごとにサブ主治医を設け、主治医不在時にも緊急対応できるようにした。2つめは、多種類・少量使用の訪問診療材料の共同管理。3つめは、急性憎悪時や緊急避難的入院の受け入れを確実に行うため、医師会・南砺市民病院・公立南砺中央病院が覚書を交わした。 医療と福祉の連携については、10年から南砺市地域包括医療・ケアワーキング会議が開かれている。メンバーは、地域包括支援センター、介護福祉支援センター、市民病院、中央病院、訪問看護ステーション、市民生部および地域包括医療・ケア局など。ワーキングケア会議で話し合われた課題解決策などが、医療・介護に関する基本方針を決定する場である南砺市医療協議会に諮はかられる。専門職と住民が学び合うマイスター養成講座 在宅を核とする地域包括ケアの実践には、もちろん地域の力も欠かせない。南砺市では06年度から、社会福祉協議会が中心となってケアネット活動(富山県全域で推進)を展開している。支援の必要な人の地元で住民が3~5名の見守りグループをつくり、日常的な声かけやごみ出し、買い物代行などを行う仕組みだ。市内31の自治振興会単位で取り組まれており、地区によっては草むしりや除雪などの支援も。介護保険法の改正に伴って地域支援事業が導入されるが、南砺市ではこのケアネット活動をベースとして、31地区それぞれに生活支援の仕組みづくりを進めつつある。15年度は6地区でモデル事業が行われた。 市では09年度から、地域医療再生マイスター(14年度より地域医療・地域活性化マイスターに名称変更)養成講座を開講した。医師や看護師・保健師・福祉職などの専門職と住民が同じテーブルで学び合うのが特徴で、地域医療の課題、地域医療の取り組み事例などの講義のほか、自己開発法なども習得する。この講座は7年間続けられ、310名のマイスターが誕生した。 修了生が継続的に学習・交流・情報交換などをする場として、10年には「南砺の地域医療を守り育てる会」が発足(14年度より「南砺の地域包括医療・ケアを守り育てる会」に名称変更)。定期的な講演会等の開催のほか、医師グループ、五箇山婦人会グループ等が結成され、住民健診受診率向上活動などそれぞれに主体的な動きを見せている。 15年度からは、国の事業として認知症サポーター養成講座が始まった。小中学生、地域団体、職場グループなどを対象に出前授業を行い、認知症の正しい知識を学ぶとともにグループワークで自分のできることを考えるプログラム。 15年1~6月には、市が31地区を回って自治振興会と意見交換会を実施。認知症の増加や医療・介護スタッフの不足といった不都合な事実も示したうえで、課題解決のための互助・共助のあり方などについて話し合った。 以上、市民病院を核とする関係機関の連携、地域における生活支援、人づくりの取り組みを紹介してきた。これらを基盤として南砺市の地域包括ケアが目指すのは、高齢者が最期まで安心して暮らせるまちづくりだ。 地域医療を守り育てる会自治振興会と市の意見交換会( 福野南部地区)認知症サポーター養成講座