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2017 spring vol.29   06NPOと行政が連携し地域住民・団体も協力 「やすクール」は、生活困窮世帯の子どもたちに週一度集まってもらい、市民ボランティアが個別指導を中心とする学習支援を行う取り組み。定期的な学習機会を保障し、学習習慣を身につけてもらうことで貧困の連鎖を断ち切り、子どもたちが将来経済的・社会的に自立できる基盤を確立することがねらいだ。 対象は中学生と、「やすクール」の卒業生。実施日は毎週水曜日の午後6時から8時半までで、JR野洲駅近くの「コミュニティセンターやす」3階の4部屋を会場としている。16年度の登録者は中学生30人、高校生10人。 運営を委託されているのは、NPO法人反貧困ネットワーク滋賀・びわ湖あおぞら会。そのメンバーである法律家や企業人のほか、公募で集まった学習ボランティアたちが、ほぼマンツーマンで学習指導に当たる。委託といっても丸投げではなく、事務局機能は市が果たし、やすクールにも毎回3人ほどの職員が参加する。学習ボランティアとして関わる職員もいる。 時間帯が夜間のため、地域ボランティア「おにぎり隊」の人たちが昼間から集まって、毎回50~60個のおにぎりを提供。冬場には、少しでも温まってもらおうと味噌汁もつくる。米は、青年農業クラブから寄付を受けた。こうして連携協力の輪が広がれば広がるほど、「子どもの貧困」という問題が、よりたくさんの人に自分の問題として共有されるようになる。 生徒の募集にあたっては、児童扶養手当を担当する子育て家庭支援課の名前で生活困窮世帯にDMを発送。また、年に一度現況届の提出が義務づけられているので、その際にも案内している。学習指導に加えて社会人講話も実施 具体的な進め方については、初年度は各自が自分の宿題を持ち込滋賀県野洲市2015 年4月に施行された生活困窮者自立支援法は、苦しんでいる人を生活保護の手前で救い上げる、“ 第二のセーフティネット” と言われる。その成立に道を開いた先行事例の1つが、滋賀県野洲市の取り組みである。庁内外の関係機関と緊密な連携を図りながら、多重債務などに苦しむ市民の再起を支援してきた。本稿では、同法に基づく学習支援事業として位置づけられる「やすクール」を中心に紹介する。「やすクール」は、家庭の事情で学習環境が整っていない子どもたちの居場所を、地域ぐるみで確保しようとする試みだ。子どもたちの勉強の場を地域ぐるみで用意。「やすクール」の取り組みで貧困の連鎖を断ち切るやすクールの様子やすクールの開校式野洲市