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2017 spring vol.29   08交流スペースを開放し施設と地域が一体化 長岡市は、05年から10年にかけて10市町村を編入した。高齢者総合ケアセンターこぶし園は、そのうち旧長岡市域に18のサポートセンターを展開している。おおむね中学校区ごとに1か所の割合で、半径1~3kmのエリアをカバーする。サポートセンターとは、小山さんの定義によれば次のような施設だ。「車椅子生活に対応するバリアフリーの住環境と、24時間連続する看護・介護・入浴・食事サービスという、既存の施設と同様のサービスを、今までの暮らしの中で提供するシステムをつくり、在宅など地域社会で生活されている要介護者や介護家族を支えるためのサービスの集合体」 サービスセンターが持つ機能はそれぞれの地域性に応じて少し異なる部分もあるが、筆者が14年8 月に取材で訪れたサポートセンター摂田屋の場合は、次の機能がある。地域密着型介護老人福祉施設( = サテライト型特養、定員20人)、認知症対応型共同生活介護(=グループホーム、9)、小規模多機能型居宅介護(登新潟県長岡市・こぶし園新潟県長岡市に、自らつくった定員100 人の大規模特別養護老人ホームを“ 解体” した人がいた。社会福祉法人長岡福祉協会・高齢者総合ケアセンターこぶし園の前総合施設長、小山剛さん。入居者を、地域ごとに設置した小規模多機能の「サポートセンター」に帰し、国による制度化のはるか以前に365 日24 時間の地域包括ケアを実現した。2015 年3月、小山さんは惜しくも病に斃れ帰らぬ人となったが、その遺志はたしかに受け継がれている。誰でも住み慣れた場所にいたい。高齢者を特養から地域ごとのサポートセンターへ「帰す」フリージャーナリスト 北井弘故・小山剛さん者とその家族、地域住民代表、行政職員などをメンバーとする運営推進会議が設置されている。これは、事業者による〃囲い込み〃を防ぎ、地域に開かれたサービスを確保することを目的とするものだ。摂田屋サポートセンターについても、運営推進協議会を中心として施設と地域の一体化が図られている。地域住民は毎日のように施設のデッキを掃除しに訪れ、一方で施設の利用者や職員は積極的に町内会の行事に参加――そんな相互交流が日常的に行われている。 18のサポートセンターは、大きく3つのタイプに分けられる。①コンビニ型…近隣に既存のサービス提供者がいない場合の小地域完結タイプ。02年開設のサポートセンター美和がその例で、当初は次のような多様な機能を有していた。デイサービスセンター、ホー録定員25、通い15、泊まり6)、在宅支援型住宅(10)、配食サービス(365日3食型)、地域交流スペース、カフェテラス、キッズルーム。 特養の各個室には玄関とベランダがあり、玄関は通常の集合住宅と同じく外向きに設けられているため、プライバシーも守れるし家族や知人も出入りしやすい。広々とした交流スペースは地域に開放されており、誰でも無料で利用できる。学習会やコンサートなどが定期的に開催され、利用者と近隣住民が一緒に学び楽しんでいる。キッズルームでは、午後になると学校帰りの子どもたちが自由に立ち寄って遊んでいく。地域性に応じ3タイプのサポートセンターを設置 各サポートセンターには、利用サポートセンター美沢サポートセンター摂田屋長岡市